アフリカの「スナノミ症」根絶 途上国支援の良い例に

 世界の5人に1人が1日125円以下で生活、命を脅かすような極度の貧困に陥っている。そんな悲劇に加えもう一つの悲劇がある。膨大な支援を行ってもなお、それでも貧困がなくなっていないということである。

 ケニアで猛威を振るうスナノミ症という、寄生虫型皮膚疾患がある。ケニア国内で140万以上の罹患者がいるが、これまで国際社会で議論されることはなかった。ひとたびスナノミ症になれば知らぬ間に進行、全身が壊死する恐ろしい病だ。砂の中に住むノミが足に寄生するスナノミ症の原因は、足を砂にさらさなければならないほどの貧困と、身体をきれいに保つことができないほど脆弱な水環境である。

 ケニア西部の農村「エスンバ村」では裸足で生活する方々を目にする。貧困のために靴が買えず、免疫力の低い子どもたちがスナノミ症の脅威にさらされている。さらに上下水道のインフラはないために、足の裏をきれいにすることもできない。村の住民の死因の半分は、スナノミ症に加え、伝統的な治療法と劣悪な治療環境のため発生する二次感染によるものだ。「未来に厚いフタがされている」エスンバ村の地区長はそう話す。

 スナノミ症を解決する試みが日本で始まっている。使い古した靴を回収、必要としている貧困地域に送っている。それらはすべてが善意と寄付で成り立っている。これまでに約5トンの靴が全国各地から集まり、エチオピア航空のご厚意でケニアまで運ばれた。また日本政府に対し、現地に寄り添った丁寧な支援への資金協力と、研究開発を働きかけている。

美しい目標を立て、理想的な資金拠出によって貧困が解決するのであればもっと効果が現れているはずだ。目標を達成すべく、活動するのではない。目の前の子どもを救おうとして、活動が始まるのだ。

先進国からの支援のうち、たった数%しか本当に必要な人に届いていない。エスンバ村では支援なんてものは存在しなかった。我々は基本に立ち返り貧しい人からのフォードバックを求めるべきだ。さらに「貧困地域は貧困であるべき」という空気が支援機関からも現地政府からも感じ取れる。どちらも自分たちの利益につながるからである。

ケニア・ナイロビで開催された第6回アフリカ開発会議から、もうすぐ2年が経つ。ナイロビ宣言は果たして達成するのだろうか。

日本の底力を栄養を含む保健、教育のみならずあらゆる分野で発揮していただきたい。加えて、貧困について考える人は支援のために資金を集めることよりも、支援が貧しい人に届くようにする活動にシフトすべきと考える。

私はスナノミ症根絶に向けて、日本全体の力を結集してコミュニティーを形成し、生活を向上させたいと願う人たちへ生きる力を与える仕組みを作りたい。そんなモデルを確立し、国際社会に発信できれば幸いだ。

しらいし

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RIKU Shiraishi 白石 陸
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