めも_霞ヶ関の働き方改革

労働人口に比した公務員数、日本の6.7%はOECD諸国の平均15%より格段に低い。北欧諸国の3~4分の1。絶対数が少ない上に、非効率・無駄(といっては失礼だが)な作業が多い。

特に、夜になってから国会などの質問が来て夜中過ぎまで作業というのは人権を守る欧米社会からは考えられません。

人を増やせないのであれば、効率を上げること、優先順位をつけることが通常の対策です。

Deprioritization「捨てる勇気」も重要です。これは個人ではできないのため、幹部が「これはやらない」、例えば、夜6時以降の国会質問には対応しない、など、職員を守る交渉と決断をすることが必要だと思います。

定期的に作業のチェックをして無駄・非効率を省く、そのために、現状でどのような作業をやっているのか、その中で意義や価値のあるものとないもの、重複することなどを分類する、意義・価値のあまりないものは捨てる、ということをやる必要もあります。

Performance and Accountability Frameworkという、キーとなる重要なプロセスを洗い出し、重複やギャップを把握し、効率と効果を定期的にチェックし、常に改善させるPDCAサイクルを動かしています。

複雑な組織であればあるほど、その作業・プロセスを見える化して、無駄・非効率を改善することが必要となってきます。ビジネス・民間セクターではよくやられていることですが、公的セクターでも必要だと思います。

戦略的組織変革について

環境が不連続な変化を起こしたとき、組織は従来の組織能力や戦略を見直し、環境との新たな関係を抜本的に再構築する必要に迫られる。しかし、たとえ業績が悪化し危機的状況を迎え、革新的(戦略的)組織変革の必要性が生じても、実際には実現しない場合がある。これには次のような理由が考えられる。

 

1)変革には既存の行為を継続する場合には現れないコストが生じるから

◯革新のコストの典型は埋没コストである。こうしたコストは現在の状況にとどまる限り発生しない。組織が現状に執着する要因となる。埋没コストは回収不能なコストであり、組織変革の状況に当てはめれば、現在のプログラムを継続している限り発生しないコストでありながら、それを捨てて新しいプログラムを採用する場合に発生するコストである。

◯組織内外の利害関係者たちは、既得権益を失うことにつながる現在の組織均衡状況をかえるような組織変革に対しては、強い抵抗を示す可能性が高く、これが組織変革への抵抗要因となる。

 

2)組織は変革の必要性を認識することができない可能性があるから

◯直面する環境の多様性や不確実性を除去するために、組織は外部環境の変化に関する情報を集め処理するプロセスを様々なルールや手続きとしてルーティン化する。しかし、こうしたルーティンは、基本的に既存のビジネスや管理・運営するために構築されているので、それに直接関係を持たない情報やデータ・たとえば戦略的変革の必要性を示す外部シグナルは排除される傾向にある。

◯組織やその利害関係者たちが満足水準を超える利潤を得ており、とりたてて不満がないという状況においては、あえて現在のプログラムや戦略より優れたものを探索しようとする動機づけは失われてしまう場合がある(有能性のわな)。

 

3)たとえ業績が悪化しても、なお既存の行為を継続しようとする強い力が作用するから

◯失敗に対する責任を認めることで心理的コストが上昇するため、経営者や管理者は新しい行為よりも従来の行為にコミットする。

◯多少の損失が発生しても、従来の行為を止めることで新たに埋没コストが発生するのを防ごうとし、今後こそは成功するだろうと期待を持って、従来の行為を追い続ける。

◯失敗によって損失が生じ、環境から脅威がやってきた場合、組織は従来慣れ親しんできて、経験も豊富な対応の方を選択する傾向がある。

◯もし管理者が適切なデータを入手することができても、そのデータを解釈する認知枠組は既存の組織文化に依拠しているために、それらの重要性を過小評価してしまったり、不適切な解釈をしてしまったりする可能性が高い。

 

では、戦略的組織変革を遂行するためにはどのようにしたら良いのか。次のプロセスが必要となる。

 

1)変革の必要性の認識

変革にあたっては、まず経営者もしくは経営グループによって変革(高次学習)を創始する必要性が認識されなければならない。そのためには、組織の既存の情報処理手続きによって加工された情報ではなく、よりリッチな情報を獲得し、経営者は自身の責任でその意味するところを解釈しなくてはならない。リッチな情報(経験)とは、今までにないような多様な解釈(意味・教訓)を導き出す程度が高い、すなわち潜在的多義性が高い情報(経験)のことである。リッチな情報を獲得し、また効果的に解釈を行うためには、次のようなことが要件になる。

◯現在の日常業務で使われていない、変革のために利用可能な組織的なスラック資源(余裕)を保有すること。これがないと多様な解釈をする余裕がなくなる。

◯既存の情報処理手続きによって加工されておらず、多様な解釈が成立し得る生のデータへ直接コミットすること。

◯組織の既存の手続きや、規則では処理できない問題が発生していることを示すシグナルであるコンフリクトを多様に解釈し、根本的な原因を探索すること。

 

2)変革案の創造

組織の問題が認識され、特定の個人がリッチな経験を通じて革新的なアイディアを創出できたら、それを組織レベルの知識創造過程にのせ、明示的な革新を生み出していく必要がある。組織における創造過程に影響を与える条件として次のようなものがある。

◯情報の多義性を増幅してリッチな解釈をするために、関連する多様な領域、バッググラウンドを持つ人々からなる自立的組織単位を編成する。

◯革新的なアイディアは、多くの場合、暗黙知の形態をとるが、フェイス・トゥ・フェイスの対話を通じて、ある人がもつ暗黙知を組織的に共有したり、新たな形式知を創造したりするといった取り組みが求められる。また、今日ではITを活用したナレッジマネジメントも活発に行われている。

◯それぞれのメンバーは、自己の専門領域を持ちつつ、組織全体に関する知識や情報を共有しなければならない。このような状況は、各メンバーが常に組織全体のことを考えつつ、専門的な意見を主張することが可能にする。このように各メンバーが重複した情報を持つことを(情報の)冗長性という。

 

3)変革の実施・定着

組織変革を実施していく移行過程では、変革への抵抗や変化に際しての混乱、変化に端を発する組織内の権力抗争が生じるため、これらへ対処する必要がある。基本的な対策は、移行過程のマネジメントを専門に担当する管理者及びチームを結成し、トップマネジメントがそれを支援することである。ここでトップに求められるのは、組織に学習する価値観を埋め込む制度的リーダーシップである。

 

以上

 

しらいし

「思い込み」と「考え込み」の違いについて

昔よく議論した仲間たちと久しぶりに真剣に語り合ったので、その際に感じたことをまとめておきたい。

 

うち一人が、現代人は思い込むことができても考え込むことに苦手意識があるのではないか、と仮説を立てていた。それについて数名で議論をしたわけだが、その結論はなんとも呆気ないものだった。

つまり、思い込むとは情報源がひとつであること、考え込むことは情報源がゼロもしくは無限にあること、だ。複雑化させているのは、思い込むひとが考え込んでいると自己分析するからだ、と、早々に片付いた。

 

数十秒後には、日本の持つ比較優位性や投票所における統計学の応用などについて議論が移ったわけだが、なんとも集中できなかった。

 

まず考える内容についてだが、先方が考えるべきことをあれこれ考える、過去の無関係な仮定を考える人類がいるが、実に意味がない。そのような場合は横においておく。

 

さまざまな提言にも書いてきたが、我々は情報洪水の世の中にいる。ひとの考えや動きについてもSNSを経由して発信されるようになった。であるから「思い込み」が起こりやすく、「考え込み」が苦手になったのではないか。

 

どういうことか。世の中を旅していると、「思い込む」人類、根拠ない言論や命令を信じて疑わないひとがいる。薄っぺらいロジックに批判可能性を許さない態度は如何なものかと考えるが、ある意味で彼らがいるから世の中が回っている。

彼らの脳内では情報を一元的に処理されている。つまり、情報源がひとつしかないのではなく、それ以外を拒絶している可能性がある。

 

一方、「考え込む」人類はどうか。情報が多元的に処理され、批判を受け付ける。ロジックの全てが各々の情報源によって構成されていて、抜けがない。しかし、当然その結論は、当たり前じゃないかと思うことが多くなりがちである。学術論文を読んで結論がそんなときが多くある。

 

他方、「思い込み」も「考え込み」もしない人類もいる。妥当が否かは別として、突拍子のないアイディアが次々出てくる人類のことだ。

 

議論では「考え込む」ことが善として進んだが、そうとは思えなかった。

 

上記のように分析をしたところで、やるべきことを

思い出した。また追記しようと思う。近いうち。