新製品・プロジェクト開発のプロセス

新製品・プロジェクトの開発は多角化戦略や新製品開発戦略などの経営戦略を策定する際にも重要な役割を果たしている。また、マーケティグの要素としての製品戦略においても、その中心的な課題に位置付けられる。

よって、本ブログでは、その一般的なプロセスを書き示しておく。

 

全体像

新製品・プロジェクト開発は、一般的には以下のようなステップで実施される。

  1. アイディアの創出
  2. スクリーニング
  3. 製品・プロジェクトの開発
  4. マーケティング戦略の検討
  5. 経済性の評価
  6. 試作モデルの開発
  7. テストマーケティング
  8. 市場導入

 

新製品・プロジェクト開発の各ステップ

アイディアの創出

新製品のアイディア創出は、自社の強みを何かに利用できないかというシーズ発想と、こんなニーズがあるか、何か解決できる方法はないものかというニーズ発想の2つに分けられる。


スクリーニング

創出したアイディアを、経営理念や事業戦略、経営資源などの多様な観点を踏まえて絞り込む。潜在性の高いアイディアを却下してしまうドロップエラーや、潜在性の低いアイディアを採用して開発を進めてしまうゴーエラーが発生しないように留意する。

 

製品コンセプトの開発

製品コンセプト自体が顧客の購買理由や市場価値であり、これを明確化する必要がある。これが不明確だと、各部門の行動に統一性がなくなってしまう。この過程と並行としてポジショニングと標的市場も明らかにする。


マーケティング戦略の検討

この段階ではコンセプトをもとに、マーケティング戦略の基本骨格を固める。


マーケティングマネジメントプロセスの実施

環境分析

環境分析では、企業の外部環境に対してその機会と脅威の分析を、また企業の内部資源に対してはその強みと弱みの分析を行う。これがSWOT分析である。

  • マクロ的外部環境(経済的、人口動態的、社会文化的、技術的、政治的、法律的、自然的)
  • ミクロ的外部環境(競争企業、利害関係集団、産業状況)
  • 内部資源分析(人的、財務的、物的、その他(情報、経営ノウハウ、技術力、社風、ブランド、知財権))

 

マーケティング目標設定>
経営目的は経営目標と経営理念から構成されるが、ここでのマーケティング目標は、経営目標としての企業全体の数値目標から導き出される。

  • 売上高目標:売上から逆算
  • 利益額・利益率目標:売上に加え、費用を考慮し逆算
  • 市場占拠率目標:目標とした市場の全需要の中で自社製品の売上高が占める割合から逆算。競合他社との競争関係によってとるべき態度(差別化戦略、低コスト、など)を考慮し決定
  • 企業・製品イメージ目標:リーダ企業を設定することが多いが、数値として把握することが難しい

 

<市場細分化>
市場の一定の規模を保ちながら、かつ同質的なニーズを持つ消費者の集団を区別していく手法
市場細分化の要件は以下の通り。

  • 測定可能性:規模と購買力が測定できるか
  • 到達可能性:どうプロモが打てて、到達できるか
  • 維持可能性:数年先まで見据えるか、市場が枯れないか
  • 差別化可能性:区分する価値があるか
  • 実行可能性:その市場で受け入れられるか

 

<市場ターゲティング>
市場を細分化したら、市場セグメントの魅力を測定する方法を開発し、標的セグメントを選択する。

  • 無差別型:細分化された市場間の差異を考慮せず、単一の製品を全ての市場に投入
  • 差別型:細分化された市場ごとにニーズに適応した商品を複数市場に対して投入
  • 集中型:細分化された市場の中から特定の市場に限定し、最適な製品を投入

 

<市場ポジショニング>
競争上の位置付けを意味し、製品間における競争の中で、いかに自社製品が競合製品と差異を図って優位にたつかを検討すること。知覚マップを制作することが多い。


マーケティングミックスの整理>
製品、価格、チャネル・物流、プロモーション、を整理する。


経済性の評価

大まかなマーケティング戦略を策定したのち、その製品事業に関する経済性を分析する。具体的には、製品の予測売上高、利益、原価などをいくつかのパターン(ベスト、ワースト)でシミュレーションを行い、採算性を検討する。


試作モデルの開発

マーケティング部門と開発部門の議論により、具体的な製品への落とし込みが始まり、試作品を物理的側面と心理的側面の両面から比較検討する。製品化が決定した場面、必要であれば特許の申請などを行う。

 

テストマーケティング

限定した実験販売を行い、最終的にデザインなど様々な製品使用を決定する。この決定は、その後行う生産数量の決定、広告、販売促進、流通経路の決定などのマーケティング活動を効率よく行うための最終調整の場でもある。テストマーケティングは、競合他社に新製品を見せるというリスクも伴う。


市場導入

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以上が一般的なプロセスである。

なお、それぞれアジャイルに検討する意思決定のあり方と自由闊達に意見を言い合える会議のあり方も重要であろうと思う。

 

しらいし